『聖戦士ダンバイン』HGダンバインを細部の改修で設定画の印象にさらに近づける
2024.04.05ダンバイン【BANDAI SPIRITS 1/72】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)
各部の微調整で設定画のイメージに
富野由悠季監督による異世界ファンタジー『聖戦士ダンバイン』。海と陸の間にある、中世を連想させる世界、バイストン・ウェルを舞台に、有機的でより生物的なデザインが魅力のオーラ・バトラーが戦う様はリアルロボットファンに新しい風を吹き込んだ。物語中盤、舞台を東京に移してからは、現代兵器との戦闘もあり、その異質さがより鮮明になったといえよう。作例は最新のHGキットを使用。宮武一貴氏が描く設定画にさらに近づけるべく、キットの細部を微調整している。
聖戦士ダンバイン
□1983年2月5日〜1984年1月21日□名古屋テレビ□メカニカルデザイン/宮武一貴
富野由悠季監督によるSFファンタジー。海と陸の間にある世界“バイストン・ウェル”に召喚された青年ショウ・ザマ。中世を連想させる騎士や城が存在し、フェラリオ(妖精)が暮らす異世界で、ショウはオーラ・バトラー・ダンバインを操縦する戦士となり、バイストン・ウェルを支配せんとするアの国の地方領主ドレイク・ルフトに立ち向かっていく。オーラ・バトラーのデザインはこれまでにない斬新さで、プラモデル業界にも大きな衝撃を与えた。
【カラーリングデータ】
本体1=オーラパープル1(ガイアノーツ)
本体2=オーラパープル2(ガイアノーツ)
関節=グレーグリーン(ガイアノーツ)
ピンク=ライラックピンク(ガイアノーツ)
黄色=キアライエロー(GSIクレオス)
黒=メカサフ スーパーヘヴィ(NAZCA)
剣=メカサフ スーパーヘヴィ(NAZCA)の上にMigピグメント ガンメタル
特集に合わせてHGとして再リニューアルされたダンバインを製作。設定画のイメージに近づけるべく各部を弄ってみました。
■頭部
正面から見た時の額の先端の幅が広く、どの角度から見てもひさしが目にかかるのが気になります。ここを裏打ち後、削り込んで先窄まりになるように修正します。また、頭部下半分の幅が広く、ここも印象が違って見える箇所なので、下から削り込んで幅を狭くしています。
■胴体
首が長く見えるのでボールジョイント軸をカットして短くします。同時に襟を後ろに行くほど高くなるよう形状修正。また、鎖骨部分のアウトラインが水平気味なのですが、どちらかというと下がり気味のイメージなので、設定画にあったりなかったりするもう一段被さる装甲を新造。これにより下がり気味のアウトラインを形成しています。
腹部が長く見えるのですが、股間ブロック前方アウトラインの下方への抉れが強いために必要以上に長く見えると判断。そこで腹部のほうは手をつけずに、股間ブロック前方のアウトラインを上に押し上げるよう修正することで対応。横側も設定だと脇の六角形ギリギリまで切れ上がっている印象なので、そのように修正しています。後ろ側は不必要に後方に迫り出しているので、背中とラインが自然に繋がるよう削り込んで修正しています。
■腕部&脚部
成型の都合から来る断面の厚みやC面が気になるところです。それらをなだらかに処理してやることで、メカとは違うオーラ・バトラーらしさをより強調しています。また、剣を握らない左手のみキットを芯にしてポリパテで握り拳を新造しています。
脚部は少しボリュームが足りない気がしたので、太モモ外側を真ん中あたりでカット。そのカットした上側のみオフセット気味に固定して下側と自然に繋がるように瞬間接着パテでアウトラインを形成してボリュームアップ。ふくらはぎは設定に見られるように内側のみ削り込んでアシンメトリーなアウトラインに。裾部分は設定と比べて少しうねりが強いので、エポパテでアウトラインを修正しています。
■塗装
下地をメカサフ ヘヴィで塗装後、本体主要部と関節部は筆塗りで。あえてムラを残したり粗めなタッチを残しておき、その上からエナメル塗料でウォッシングを施すことで強獣の甲殻を使用した不均等さ、オーラ・バトラーっぽさを出しています。爪部分は成型色を活かしつつ、根元部分のみクリアーカラーを塗り重ねています。
BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット “ハイグレード”
ダンバイン
製作・文/NAOKI
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NAOKI(ナオキ)
メカニックデザイン、造形、造形プロデュースなどさまざまフィールドで活躍するマルチクリエイター。