「コモリプロジェクト」原点の地・ボークス本社を訪問
2024.03.21 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
原点の地へ
ボークス本社、訪問
皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。僕が怪獣のガレージキットに激しくのめり込むようになったのは、ボークスのOHシリーズやJr.シリーズがきっかけです。ビリケン商会、パラダイス、トリアーデに海洋堂、素晴らしいキットを放つメーカーは他にもたくさんありましたが、ボークスはなんといっても数が違いました。特にJr.シリーズは桁違いであり、軽く百種類を越えています。怪獣消しゴムばりの豊富さと、圧倒的な再現性、心を捉えて離さないポージングなどそりゃもう圧巻でした。京都の長岡京店や大阪の心斎橋店、時には東京のショールームに足しげく通っては、ケースに飾られたキット達を穴の開くほど眺めたものです。僕がどれほど狂熱したか、これまでに幾冊もの怪獣愛、キット愛を語った本を世に出しましたからご存知の方も多いかと思います。
今から二十年近く前、新聞社さんの主催で展覧会を開きました。その名も『ボークスJr.ウルトラワールドの世界展』。図録では展示したキットを余すところなく収録するだけでなく、このシリーズを生み出した重田社長(現会長)や原型師の圓句さんにインタビューを行い、秘話を語っていただきました。会は大成功となり(会場の入場者数、最高記録)、図録もたくさんの人に喜んで貰いました。ただ、その頃からボークスは次第に怪獣から離れていき、それに比例するように僕も段々と足が遠ざかるようになっていったのです。これも時代の流れですね。それから時は流れて昨年のこと、ボークスがオリエントヒーローシリーズを復刻するという驚きの情報が飛び込んできました。HJ編集部よりその件で僕に原稿を書いてほしいという依頼が舞い込み、もちろん二つ返事でオッケーしました。そこから再び時が動き出し、ボークスとのやり取りが始まったのです。今回、京都出張の折、本社にご挨拶に伺いました。重田会長と二人三脚で歩んで来られた奥様のせつ社長とは初めてお会いしましたが、実に朗らかでお優しい人柄で、こちらが変に緊張することもなく場の雰囲気を作っていただきました。久しぶりに圓句さんとも再会しました。風貌は多少変わられてはいましたが、造形に対する気持ちはいささかも揺らいでいらっしゃらない。それどころか凄みを増されたように感じました。おふたりのお話しに耳を傾けながら、自分でも不思議なくらいの居心地の良さに包まれました。そしてひとつのことに思い当たりました。(あぁ、やっぱり僕はボークス育ちなんだなぁ)あらためて、いや、はっきりそう思い至りました。これからも育てていただいたご恩を忘れることなく、全力でキット作りに邁進したいと思います。
文/小森陽一
構成・撮影/土井眞一
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。