HOME記事キャラクターモデル『マクロス』HGシリーズ第4弾「YF-21」をキットレビュー! 航空機イメージのディテールアップ&専用水転写デカールで高密度に仕上げる

『マクロス』HGシリーズ第4弾「YF-21」をキットレビュー! 航空機イメージのディテールアップ&専用水転写デカールで高密度に仕上げる

2024.03.17

YF-21【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

YF-21 イメージカット

航空機であることを意識したディテールアップ

 BANDAI SPIRITS『マクロス』HGシリーズ第4弾は『マクロスプラス』にてガルド・ゴア・ボーマンが搭乗した「YF-21」。YF-19に続くリリースで本作品の主役機とライバル機が出揃うこととなった。キットは独特な変形機構とプロポーションを「差替三段変形(ショートカットチェンジ)」の採用で見事に両立。さらに三段変形に加えて劇中クライマックスで印象的なリミッター解除モードも再現可能となっており、『マクロスプラス』30周年を飾るに相応しいアイテムになっている。木村直貴によるキットレビュー作例では、航空機であることを意識して各部をディテールアップ。同時発売となった専用水転写式デカールを使用して高密度に仕上げている。

≫FIGHTER

YF-21 ファイター形態 左正面
YF-21 ファイター形態 右正面
▲現実世界の試作戦闘機YF-23をデザインモチーフとするステルス機然としたフォルムのファイター形態。機首周りの複雑な色分けはすべて成型色で再現されている。ランディングギアやインテークシャッターは差し替えで開閉を再現可能
搭乗姿勢のガルドフィギュア
▲キャノピーのクリアー部には偏光成型を採用。キャノピーは開閉可能で、BDIによる独特な搭乗姿勢のガルドフィギュアが付属。作例は丁寧に塗り分けている
機首の外周パーツ
▲機首の外周を削り込むことで機体が薄く見えるようにしている
ランディングギア パーツ
▲ランディングギアのオレオリンクはドリルとナイフで中抜きしてヒンジを追加。ブレーキチューブは伸ばしランナーで再現。その他プラ材のチップや伸ばしランナーの輪切りでディテールアップ。前脚カバーは裏側から縁を削って薄く見えるようにした

≫HIGH MANEUVER MODE

リミッター解除モード(ハイ・マニューバ・モード)
▲四肢を外したリミッター解除モード(ハイ・マニューバ・モード)。キットでは腕部を収納した胴体下部カバーとインテーク横のカバーパーツを外すことで再現。エンジンブロック下部のシャッター状モールドも再現されている

≫GERWALK

ガウォーク形態
▲YF-21はエンジンナセルがガウォークおよびバトロイドでの脚部になる構造ではなく、それぞれが独立して存在している。そのため、ガウォーク形態でも機体後部にエンジンが残ったままとなる

≫BATTROID

バトロイド形態 正面、背面
▲ゼントラーディの技術の流れを汲む独特なフォルムのバトロイド形態。外装に覆われた小さな頭部、流線型のボディラインにその面影を見ることができる。トップヘビーでスラリと伸びた脚部は、なかでもクァドラン・ローの印象が強い
肩軸受けパーツ
▲インテーク横の肩軸受けパーツは断面にボルト穴モールドを追加。リミッター解除モードでむき出しになる箇所なので、内部メカが露出している雰囲気になり効果が高い
ハンドパーツ
▲ハンドパーツは手首軸がやや目立つので、軸受けのようなモールドを追加した
機体下部カバー
▲ガウォークおよびバトロイドでは太モモ側面に位置する機体下部カバーは、裏側の肉抜きをエポパテと瞬間接着剤で埋めてプラ板でモールドを追加。エッジは薄くなるよう整形している
翼
▲翼は翼端を削り込んでシャープ化。機首周りはクリアーパーツが多用されているので、翼端灯などのランプ類はクリアーランナーを使用してクリアー化することで全体的なバランスを整えた
尾翼部分
▲尾翼部分のランプは衝突防止灯と解釈して左右ともに赤にしている
エンジンブロックサイド
機体上下面カバー

▲エンジンブロックサイドの斜めになっている面は放熱孔を兼ねた軽め穴を開けた。機体上下面にあるオプション装備用の角穴は、今回は使用しないのでプラ材で埋めている

素組みとの比較 ファイター形態
素組みとの比較 バトロイド形態
▲ファイター形態およびバトロイド形態でのキット素組み(左)との比較。ファイター形態では機首、頭部カバー、エンジンブロックなど、複数のパーツが組み合わさる箇所は組んだ状態でペーパーがけして面が滑らかにつながるようにしている。各所にボルト穴、ラッチ溝、エッジの切り欠きといった得意のモールディングを行うことで格段に精密度が増しているのをご確認いただきたい
ポージング画像1
▲各関節部の自由度がとても高く、劇中の様なダイナミックでしなやかなポーズでディスプレイすることができる
ポージング画像2
▲ピンポイントバリア・パンチ用のエフェクトパーツが付属。ぜひYF-19との宿命の対決ディスプレイを楽しみたい

■ああ、伝説のYF-21
 注目の『マクロス』HGシリーズより、YF-21を担当させていただきました。『マクロスプラス』にて同じ競合試作機のYF-19と正式採用をかけて争った機体であるし、結果敗れはしたものの『マクロス7』で活
躍するVF-22の前身となった機体でもありますね。この濃紺のYF-21ファイターは前進翼のYF-19と違って一見馴染みのあるオーソドックスな現用機風ですが(実は特殊素材でできた可変翼機だったりする!)、キャノピーのほとんどを装甲でカバーしたハシビロコウのような機首や、三次元ベクタードノズルが目を惹きます。一方、バトロイドは曲面で構成されたスリムな下半身とマッチョな上半身で、それまでの可変戦闘機とは全然印象が違っています。それもそのはず、本機はゼントラーディ系の先進技術が多用された機体でして、なかでもパイロットは目を閉じて、手はおへその前で印を結んで精神集中することで操縦するという東洋的で神秘的な設定は大変印象深かったところです。本機のテストパイロットで開発主任でもあるガルド・ゴア・ボーマン氏は民間人でありながら軍人まさりの角刈り強面&マッチョなお方で、ライバルのイサムと火花を散らすように張り合うとても熱い人物だったのも忘れられませんね。

■すごすぎて涙が…
 さてこのキット、大胆な差し替え変形で各形態ともすごくカッコイイ! 特にバトロイド形態はスタイリング、アクション性、ともに最高であります! ファイター形態は機首を専用パーツに交換して大きな腹カバーを取り付けて変形させますが、これがまたカッチリかみ合って実に気持ちがいい! おまけに手足を切り捨てた最後の切り札“ハイ・マニューバ・モード”も再現可能で、ファンはしびれて落涙~。また、肉抜きが目立つパーツはほとんどないし、ディテールも充実していてとても完成度が高いです。黄色いラインの大半が別パーツで再現されているのも驚きで非常にありがたい! ほとんど見えないコックピット内も充実していて、ガルドさんはしっかり瞑想の姿で造形されています。それにしてもこのフィギュアの眉間の黄・緑のランプまで説明書にカラー指示があるのにはブッ飛びです(←愛ゆえに?)。

■精神集中!?
 では製作です。基本形はそのままにワンランクアップを目指しましょう。ヒケをならしてエッジをシャープに整えるために全体をペーパーがけしますが、一体性を上げるために機首や頭部など複数のパーツからなる箇所はできるだけ組み合わせてから行いましょう。このキットで唯一裏側が気になるのが腰のカバーです。これを埋めて整形すると完璧ですが、全体が薄いので瞬間接着剤など食いつきのよい材料を使いましょう。翼の航法灯は機首の高精度な仕様に合わせて透明化してみました。モールド部をカットし、そこにキットの透明ランナーを切り出したものを貼り付けて整形します。着陸脚は強度優先の仕様であっさり気味なので、オレオリンクを中抜きしたりブレーキパイプを追加するなどしてディテールアップするといいでしょう。また、オプションパーツ装着用の角穴があちこちにありますが、今回は見映えを重視してプラ材でフタをしています。毎度お馴染みの表面ディテールはスケール感重視で、極力小さいものを選んで彫ってみました。

■専用デカールは最強必須!
 基本色はGSIクレオスです。
青=MSブルー(Ζ系)+パープル+α
黄=黄橙色+白
 黒白、グレー系はサーフェイサーを基に調色。エナメル塗料でスミ入れし、付属シールと専用デカールでマーキング。ツヤと濃さを調整したグレートーンでグラデ吹きして完成であります!

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット“ハイグレード”

YF-21

製作・文/木村直貴

HG 1/100 YF-21
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●4730円、発売中●1/100、約15cm(バトロイド)●プラキット


HG 1/100 YF-21 専用水転写式デカール
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●770円、発売中

©1994 BIGWEST

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木村直貴(キムラナオキ)

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