第22回オラザク選手権チャンピオンmat氏のプライベート作品「1/100 RX-178 ガンダムMk-II」をご紹介!! チャンピオンのガンプラライフスタイルに迫る!
2024.03.08心の目で見た理想像への挑戦。/RX-178 ガンダムMk-II【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)
心の目で見た理想像への挑戦。
心の中に刺さり続けたイメージを今の持てる力で作り上げる。
全日本第22回オラザク選手権のチャンピオン(1/60スケールでフルハッチオープンのガンダムを製作した「THE GUNDAM」で大賞受賞)であるmat氏のガンプラスタイル。今回は、ホビージャパン編集部のオラザク選手権担当・YASの目に留まり、本企画のきっかけともなったプライベート作品「1/100 RX-178 ガンダムMk-II」をご紹介します。本作例は、旧1/100スケールのガンダムMk-IIのキットと、MG ガンダムMk-II Ver.2.0を組み合わせて、設定画稿や大河原邦男氏によって描かれた非常に力強いガンダムMk-IIの姿を追求したものとなっています。この作例を通して、mat氏のガンプラライフスタイルに迫ってみようと思います。そのなかには、きっとあなたのガンプラ製作スタイルの参考になることがあるはずです。
構成・文/フミテシ
Production Plan
本作例は旧1/100スケールのガンダムMk-IIと、MG ガンダムMk-II Ver.2.0を二個イチして製作。mat氏が目指した本作例のイメージや製作プランを見ていこう。
mat
第22回全日本オラザク選手権チャンピオン。作り上げたガンプラを見せるだけでなく、SNSや彼のブログ「mat modeling service」において途中経過や製作中の風景といった製作スタイルも公開。そのスタイルはガンプラモデラーにとどまらず、多くのモデラーから支持を集めています。
ふたつのキットを組み合わせて、ほぼ固定モデルとして仕上げる!
1/100スケール ガンダムMk-II
MG ガンダムMk-II Ver.2.0
PC上でバランス調整
1/100スケールキット+Ver.2.0
大改造の脚部
全体工作がほぼ終了した状態
「泣けるガンプラ」を目指して。
──今回の「1/100 ガンダムMk-II」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
mat:『機動戦士ガンダム』の続編として発表された『機動戦士Zガンダム』のMk-IIの設定画稿を初めて見たときの衝撃が忘れられず、設定画稿版のガンダムMk-IIを作りたいとずっと思っていました。手元にあった当時のキットの「1/100ガンダム Mk-II」をなんとなく組んでみたところ、非常に設定画稿に似ていてカッコ良かったんです。そこで「MG ガンダムMk-II Ver.2.0」のキットとの二個イチで製作しようと思い立ちました。
──matさん自身、今熱いガンプラやトレンドのものは追いかけたりしますか? それともトレンドとかはそんなに気にしないでしょうか?
mat:本業がデザイナーのせいか、すごく気になりますし、トレンドを追いかけます。新しいTVシリーズが始まったら主人公機は作りますし、いつもX(旧Twitter)で流れてくる若手モデラーの創り出すトレンドを追いかけるのに必死です(笑)。模型製作のモチベーションにもなっていますし、自分の知らないテクニックとの出会いもあります。
──Mk-II製作で目指したこと、またいつもガンプラを作る上で大切にしていることがありましたらお教えください。
mat:今回Mk-IIで目指した製作コンセプトは設定画稿の「ごつくて、悪人顔で、泣けるガンダム Mk-II」。僕は特に近年、模型を作るにあたって、この「泣ける」を大切にしています。オラザク大賞の「The GUNDAM」では、HJ別冊「HOW TO BUILD GUNDAM2」の表紙のガンダムをテーマに製作しました。最初PGガンダムをベースに構想していたのですが、泣けなかったんですよ。そこで「1/60スケール ガンダム」いわゆる旧キットをベースにしつつ、表紙のガンダムを当時の心の目で見た印象で、思いっきり解像度を高めて製作したところ、めちゃくちゃ泣けたんです。
──matさんにおける「泣ける」とは具体的に言うとどのようなことなのでしょうか?
mat:「泣ける」ですが、フルハッチオープンガンダムでしたら、当時別冊「HOW TO BUILD GUNDAM2」を見た時、子供の豊かな想像力込み込みの心の目で思いっきり見ていたこともあり、作例そのもの以上の解像度で印象に残っています。その解像度にいかに近づけるかが僕が大切にするポイントで、うまく近づけた場合、自分の中で「泣ける」としか表現できない完成品になるという解釈です。心の中に刺さり続ける作例を、現代の技術で掘り起こすというイメージです。Mk-IIでいうと設定画を見た時の心の目で見えた解像度にいかに近づけるかですね。だから、今、当時の作例や設定画稿を見ると、「あれ? こんな感じだったっけ?」となりがちですね。なんというか、その「あの時、オレの目にはこう見えたんだ!!」ってことですね。当時のキットと現代版のアレンジのさじ加減、そして現代のモデリングスキルの融合がポイントと思っています。ですので、インスピレーションとなるのは、当時の「模型雑誌」と「設定画稿」と「思い出」と言えます。
また最近「MG ゼータガンダムVer.Ka」を組んでいるのですが、これって原点回帰しながらカトキハジメ氏がさまざまな考察をしたものがまとまった、まさに「泣ける」価値を実現したマスプロダクトだなって思っています。
──Mk-IIで一番見てほしいポイントを教えてください。
mat:実は当時の1/100スケールキットのパーツを使うだけではなく、仕上げで物語序盤のMk-II不遇のストーリーを表現したりもしてるんです。肩のエゥーゴマークの下にはうっすら03のマーキングが見えるよう仕上げています。これは「物語序盤でガンダムMk-II 3号機がティターンズからエゥーゴの手に渡り、アーガマ内で外装を再塗装した際に、肩の03マーキングのあまりの高コントラストゆえに白塗装で隠蔽できず、うっすら残ってしまった……でもそれじゃ格好悪いので、エゥーゴマークを上から貼って隠した……」といった空想ストーリーを表現したものです。同様の表現がシールドにも施されているので注目です。これも「泣ける」ポイントにカウントしてください。
──プラモデルを楽しんでいて、最高の瞬間だと思うこと、プラモ趣味をしていて良かったと言えることを教えてください。
mat:たくさん考えて、他の人の意見も聞いて、試行錯誤しつつ、納得いくまで手を入れる……。本業であるデザイナーのスキルを本業以上につぎ込み、新しい楽しみを模索しています。SNSもスペースもやって、インプットもアウトプットも目いっぱい楽しんでいます。そして作ったり発信することで仲間や活動領域が拡がっていく……僕のプラモ趣味はこんな感じで、すべてが最高だと思っています。
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