映画『メトロポリス』(1927)のマシーネンメンシュの起動シーンを山田卓司が再現
2024.02.13Metropolis Maschinenmensch 起動 Ver. 【エクスプラス 1/8】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)
あの起動シーンをさらに劇中イメージに近付ける
ドイツのモノクロサイレント映画『メトロポリス』(1927)より、マシーネンメンシュがエクスプラスの1/8スケールプラキットシリーズに再登場。今回はマシーネンメンシュにマリアの容姿が転送され起動するシーンを再現したものとなっている。新規インナーボディパーツを再設計することで、前作の立ち姿から椅子に着座した状態を再現。ケーブルポイント、光輪なども新たに追加している。作例は前作も手掛けた山田卓司が担当。ケーブルの置き換えや光輪のマスキング塗装で、さらに名シーンのイメージに近付けている。
今回は「Metropolis Maschinenmensch 起動 Ver.」。こちらは先の製品から椅子に座った状態の素体パーツに接続されているコードとそのケーブルポイント、起動時に現れる光輪のエフェクトパーツが追加されたバージョンです。キットは素体パーツに外装を着せる構成で、素体のポーズさえ変えればポーズ変更も容易なため、先にリリースされた製品の改造例として考えた人もいるのではないかと思います。しかし、光輪パーツまで自作するのは難易度が高く、躊躇わせるところでした。このキット化はそういう意味でも大歓迎ですね。
以前の作例で「Metropolis Maschinenmensch」を作った時は、どちらかというとイメージ優先で仕上げさせていただきましたが、そのあとSNSで映画で使われたスーツを考察したサイトを教えてくださった方がおりまして、それを参考に今回はより実物に近いであろう姿を目指すことにしました。
『スター・ウォーズ』のC-3POのイメージから金メッキ的な表面を想像していたのですが、表面はシルバーブロンズ(銅と銀の合金)色で塗装され、さらにそれを磨いたものなのだそうです。再現された画像も見ましたが、確かにわずかに赤みがかったシルバーに見え、今回はそんな雰囲気にしました。
さて、キット自体は先の通常版と同じく、特に問題になることはなく組み立てられますので、万人にオススメできるのですが、難易度が高いのは起動時に浮かび上がる光輪のエフェクトパーツ。大小2種類の透明プラスチックのリングパーツが用意されていて、それぞれ同心円状に3重のリングが彫刻されています。このリングを塗装するにはマスキングが必須で、キットの彫刻の内径とピッタリサイズでかつ幅が一定になるよう、慎重にサークルカッターで切り出します。焦りは禁物。丁寧に作業しましょう。
なるべく無駄が出ないように切り出しましたが、やり直したり微調整をしたりしているうちに、15mのマスキングテープ1巻を使い切ってしまいました。テープの合わせ目やキワの部分を竹串の先などで擦って隙間ができないように密着させたら塗装です。インストのヒントにあるように、先にホワイトサーフェイサーで下塗りしたあとに蛍光イエローで本塗装しています。
配線コードは鉛線が用意されていますが、実際に撮影に使われたコードは撚り線のようなので、ストックしている極細ハンダ線を撚って再現。コードの付くケーブルポイントの頭部とつま先、椅子の取り付け部にはあらかじめ2mmプラ棒を接着し、塗装後に取り付けできるようにしておきました。
エクスプラス 1/8スケール プラスチックキット
Metropolis Maschinenmensch 起動 Ver.
製作・文/山田卓司
1/8スケール Metropolis Maschinenmensch 起動 Ver. プラスチックモデルキット
●発売元/エクスプラス●7150円、2月予定●1/8、約23cm●プラキット
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