HOME記事フィギュア1月放送開始の新作アニメ『メタリックルージュ』。変身形態「メタルルージュ」デザインの竹谷隆之 氏インタビュー&雛型を公開!

1月放送開始の新作アニメ『メタリックルージュ』。変身形態「メタルルージュ」デザインの竹谷隆之 氏インタビュー&雛型を公開!

2023.12.28

竹谷隆之、『メタリックルージュ』のデザインを語る 月刊ホビージャパン2024年2月号(12月25日発売)

竹谷隆之

竹谷隆之、『メタリックルージュ』のデザインを語る

—注目の新作アニメ、デザイン製作の経緯とは—

 2024年1月より放送される注目のSF アクションアニメ、『メタリックルージュ』。戦闘形態に変身して戦う人造人間たちのドラマを描いたこの作品のデザインワークで、大きな役割を果たしたのが竹谷隆之氏である。映像でのデザインに関しては特撮などのイメージが強い竹谷氏が、いかにしてアニメ、それも「少女が変身する戦闘ロボット」のデザインを形にしたのか。作画用に製作された雛形を眺めつつ、製作のあらましを振り返ってもらった。

製作・文/しげる

──竹谷さんが『メタリックルージュ』に関わった経緯を教えてください。
竹谷:映画の『DUNE/デューン砂の惑星』の試写会に行ったんですよ。そしたら同じ会場に出渕(裕)さんがいて、その辺で飲もうかということになって。そこで「今こういうのやってるから、手伝ってよ」という話になったんですよね。おそらくあれが最初だったと思います。

──プロジェクトの初期から関わっていたということですか?
竹谷:そうですね。最初からロボットというか人造人間というか、女性っぽい体型のロボットが出てくる『キカイダー』みたいな話というのは決まっていたんです。あと、当初からタイトルに「ルージュ」という単語が入ってました。だから「ロボットでルージュということは、ロボットの顔には唇がついてないといけないのかなと。他の部分がどうでも口元が女性っぽかったら全体も女性っぽくなるんで、まず何案か唇がついたものを描いて出渕さんに見せたんです。そしたら「唇、なくていいんじゃないかな」と言われてしまって……。

──女性っぽい記号の中でも強めのものを、いきなり封じられちゃったわけですか。
竹谷:唇なしとなると、シルエットとかが女性に見えなくちゃいけないから、ハードルが上がるんですよね。あと、この仕事では「主人公っぽさ」についてずっと考えたんですけど、どうも僕は主人公っぽいデザインが苦手みたいで(笑)。

──確かに、ぱっと見でわかる主人公らしいデザインというのは難しい気がします。
竹谷:主人公って動植物のモチーフがあるとか、特殊な武器や必殺技みたいな特徴的な要素がないことが多いんですよね。「ルージュ」ということで唇ではなく口紅っぽいモチーフも入れようとしたりとか、目がないデザインにしたりとかいろいろ試したんですが、出渕さんから「ちょっと東映っぽすぎるというか、石ノ森っぽすぎるな〜!」って言われちゃって。まぁほぼそれで育ってますからね〜(笑)。最終的には、出渕さんが「こんな感じでどう?」って描いたものに即したデザインになってます。

メタリックルージュ 正面、背面 設定資料
メタリックルージュ 上半身 正面、背面 設定資料
メタリックルージュ 頭部 設定資料

▲︎竹谷氏によってデザインされたメタルルージュをもとに作成された、作画用の設定資料。雛形で表現された複雑な三次曲面を平面に落とし込みつつ、ヒロイックな印象でまとめられていることがわかる

──ルジュについては立体の雛形も製作されていますが、これは平面でのデザインがまとまってから作り始めたんでしょうか?
竹谷:いや、完全に平面が終わってからという感じでもなく、工程が重なっている部分もあります。立体と平面の両方で検討して、それぞれにフィードバックして……という感じですね。ルジュのデザインはアニメの中で動かすために当初僕が描いたデザインからずいぶん線を減らしたんですが、それでも形が捉えづらいものになったので、立体を複製したものを配ったほうが絵を描くときに便利だろうと。スキャンして本編内で使う3Dデータのもとにする必要もあったので、それもあって雛形を作ったんです。

──ルジュ以外のキャラクターのデザインもなさっていますが、それぞれに雛形を用意されたんでしょうか?
竹谷:デザインしたもの全部は作っていないのですが、鏡合わせで全身を作ったものは5〜6種類あります。あとは同じグラディエーターのデザインをやっている篠原保さんの絵を立体に起こしたパターンもありますね。

──カラーリングに関しては、竹谷さんからの指定などはあったんでしょうか。
竹谷:色に関してはもうお任せしますということで、出渕さんやアニメの主要スタッフの方々にやってもらっています。だから正確にどなたがやったのかわからないのですが、少なくとも出渕さんの意向は反映されていると思います。

──『メタリックルージュ』の中で、他にもデザイン面での見所はありますか?
竹谷:グラディエーター以外のデザインに関しても、すごくプロフェッショナルな方々が入っているので、毎回の打ち合わせで他の方のデザインを見るのが楽しみでした。乗り物にしても人が乗って使うものだから、ハッチがこう開くとか着陸用のギアがこうやって出る……みたいな構造がちゃんと考えられているんですよね。僕みたいな、適当で構造なんかあんまり考えない人間が見ると、ちゃんと考えられてすごいな……と思います。

──グラディエーター以外のデザインにも注目したほうが良さそうですね。今回のお仕事で、気づいたことや収穫はありましたか?
竹谷:アニメの作画に合わせて、当初のデザインから線を減らす作業が相当ありました。立体ではディテールを複雑にすれば何とかなることもありますが、アニメでは選び抜いた線でコンセプトを体現しているのが理想的なので…。とはいえ、基本的にはとても楽しめるお仕事だったのは間違いないです。

──本編をご覧になって、いかがでしたか?
竹谷:まだ途中までしかできていないのですが、ストーリーが進むにつれて盛り上がって続きが見たくなる仕上がりになっています。ルジュが変身している時間はそう長くないのですが、変身前の姿とかなりギャップがあるので、そこは自分でもよかったなと思いますね。特撮っぽいところもあるので、そういうのが好きな人も楽しめると思います。

──アニメファンだけではなく、特撮好きにも刺さる作品ということで、拝見するのが楽しみです。本日はありがとうございました!

女性らしさと戦闘的な要素を両立した“メタルルージュ”の雛形を公開!

 こちらが、竹谷氏が作画参考用&3DCGモデル製作用に作り起こした、主人公ルジュ・レッドスターの変身後の姿である“メタルルージュ”の雛形である。全高は40cmほど。鏡の表面に半身だけが貼り付いた形で造形されている。造形にはスカルピーとエポパテを用い、硬化させたものをレジンで複製。作画参考用なので全体はグレーで塗装されているが、目やモールドの深い部分、指の先端などは差し色が入れられている。精密でキレのある造形を、とくとご覧あれ!

メタルルージュ 雛形 正面
メタルルージュ 雛形 背面
メタルルージュ 雛形 上半身
メタルルージュ 雛形 胴体 側面

▲立体で見ると、体全体は女性らしいラインで構成されていることがよくわかるメタルルージュ。頭の動きを表現するため、耳にあたる部分にはイヤリング状のパーツが垂らされ、さらに耳の後ろの部分からは髪のようなプレートがぶら下げられている。この雛形はいくつかレジンによる複製が製作され、塗装されたあとに『メタリックルージュ』製作中のスタジオに届けられている

『ラーゼフォン』以来のボンズ×出渕裕タッグがおくる、SFハードボイルドバディバトルアクションアニメ、それが『メタリックルージュ』なのだ!

『交響詩篇エウレカセブン』などで知られるアニメスタジオであるボンズの、設立25周年記念作品がこの『メタリックルージュ』。『ラーゼフォン』以来19年ぶりに総監修・シリーズ構成として出渕裕氏を迎えた、ハードなSFアクションアニメだ。
 舞台は人間と、人間によって差別される人造人間「ネアン」が混在する世界。ネアンの少女であるルジュは、バディのナオミとともに火星で“政府に敵対する9人の人造人間の殺害”という任務にあたっていた。戦闘時には装甲に覆われた“メタルルージュ”に変身し強敵に立ち向かうルジュと、バックアップを行うナオミの運命やいかに。ノワールな渋みとド派手なバトル、そして先の読めない展開が楽しめる、注目のSFバトルアクションアニメとなっているぞ。

アニメ メタリックルージュ ポスターイラスト

2024年1月10日より
フジテレビ「+Ultra」ほかにて
毎週水曜24:55~放送予定!

※放送時間は変更の可能性があります

ルジュ・レッドスターとナオミ・オルトマン
▲︎メタルルージュに変身するルジュ・レッドスター(左)と、相棒を務めるナオミ・オルトマン(右)。バディものとしての側面もある作品なのだ
アニメ メタリックルージュ ワンシーン1
アニメ メタリックルージュ ワンシーン2
アニメ メタリックルージュ ワンシーン3
アニメ メタリックルージュ ワンシーン4
アニメ メタリックルージュ ワンシーン5

▲︎毎回背景の異なる敵とルジュが変身して戦う特撮ヒーロー的な味わいもありつつ、SF ならではの世界観も楽しめる。また、人類とネアンの関係をキーにした重厚なストーリーも見所だ

©BONES・出渕裕/Project Rouge

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