HOME記事スケールモデル日本でもっとも有名な戦闘機の一つ「零戦」こと「零式艦上戦闘機二一型」の性能やその歴史を知ろう!【いまさら聞けないすごいヤツ】

日本でもっとも有名な戦闘機の一つ「零戦」こと「零式艦上戦闘機二一型」の性能やその歴史を知ろう!【いまさら聞けないすごいヤツ】

2023.12.20

いまさら聞けないすごいヤツ!!/三菱 A6M2b 零式艦上戦闘機二一型●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2024年1月号(11月25日発売)

日本でもっとも有名な戦闘機の一つ「零戦」こと「零式艦上戦闘機二一型」の性能やその歴史を知ろう!【いまさら聞けないすごいヤツ】

 三菱A6M2b 
 零式艦上戦闘機二一型 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。
 今回は、ついに「零戦」が本連載に登場です! 今回から3回にわたって日本でもっとも有名な戦闘機のお話をお届けします。まさに「いまさら聞けない」という人も多いと思いますので、ぜひ記事を読んで零戦を知り、零戦のプラモを作ってください。


三菱A6M2b
零式艦上戦闘機二一型

全幅/11m 
全長/9.06m
全備重量/2421kg 
エンジン/「栄」一二型エンジン 

馬力/940馬力 
最高速度/533km/h 
航続距離/3350km(増槽装着時) 
武装/ 20mm機銃×2、7.7mm機銃×2


零式艦上戦闘機二一型イラスト側面
▲第一航空戦隊一番艦・赤城搭載機 第二次攻撃隊制空隊 進藤三郎大尉
零式艦上戦闘機二一型イラスト全体
零式艦上戦闘機二一型イラスト裏

歴史にその名を刻んだ「二一型」という零戦

解説/宮永忠将

零式艦上戦闘機二一型イラスト側面2

 航空作戦の常識を変えた航続距離 

 日本海軍の航空部隊は、早い段階で作戦機の国産にも着手していたけど、海外機のコピー技術に留まっていた。しかし1932年(昭和7年)に海軍機の設計および各種研究の総合機関として海軍航空廠(後に海軍航空技術廠)が設置されると、国産機の方向性が整理されるようになり、多くの名機が誕生する。その成果のひとつが零式艦上戦闘機だ。制式化された年の皇紀(戦前に広く使われた年号)が2600年だったので零式、そこから「零戦(れいせん)」になったのだけど、アメリカ兵が「ゼロ・ファイター」と呼んでいたのが、戦後に逆輸入されて「ゼロセン」も使われるようになったいうのが定説。
 零戦の凄さは、開発当時としては破格の攻撃力と航続距離にあった。特に主翼内蔵の20mm機銃は、大型機も粉砕するほどの大威力で、零戦が長く活躍する原動力となった。そしてもうひとつの長所、航続距離とは一度の出撃で飛んでいられる距離のこと。これは増加燃料タンク付きの零戦二一型でだいたい3350km、北海道の根室から沖縄の与那国島まで行って、まだ300km以上余裕がある。前任機の九六式艦戦も格闘戦に優れた名機なのだけど、零戦の航続距離はほぼ倍増している。モデルチェンジしたら燃費倍増――そんな新車が売り出されたらパニックだ。
 これは開発当時の主戦場だった中国大陸で、爆撃機に充分な護衛を与えるために必須とされた能力。これが太平洋では、島々に点在する基地や航空母艦で運用する際にアドバンテージとなったのだ。

 太平洋戦争で伝説となる 

 さて、零戦にはいろいろなタイプがあり、二桁の数字で識別される。十の位が機体設計、一の位がエンジンの違いをそれぞれ表している。だから今回の紹介の二一型は、二番目の開発機体ということになる。本来は艦上戦闘機、つまり航空母艦で使用する零戦なのだけど、最初の零戦一一型はとにかく完成を急げ!
 というわけで、着艦装置無しの陸上戦闘機タイプであった。それが数が揃い始めて一息ついたので、改めて母艦運用のため着艦制動装置を追加、空母のエレベーターにも合うように主翼の先端部を折りたたみ可能にしたのが零戦二一型というわけ。
 この二一型が太平洋戦争の序盤、空母機動部隊と基航空隊の主力機となって暴れまくった。なにせ常識外れの距離から突然現れるや、信じられない機動性を駆使して連合軍機を翻弄する。しかも当時の零戦パイロットは、厳しい選抜をくぐり抜け、猛訓練で鍛え上げられたエリート集団だ。
 戦後に研究もいろいろ進んで、零戦の無敵神話っていうものの実態はかなり明らかになっている。だから零戦の印象が世代によってかなり違うモノになるのは当然だ。だけど太平洋戦争の緒戦において、この零戦の登場が与えた戦略的なインパクトは本物だ。奇襲攻撃による軍全体の序盤の勢いに、常識外れの航続距離、そして少数の優秀搭乗員による集中的打撃――ルウム戦役におけるMS-06CザクⅡのそれに合致する戦史上の大事件だ。事実、開戦当初のアメリカは、このゼロ・ファイター対策に躍起になるのだから。


零戦とエース❶

坂井三郎
(1916 ~ 2000)


 佐賀県出身の海軍軍人。もとは戦艦「榛名」の優秀な砲術員であったが、戦闘機パイロットに応募して合格。新設の台南航空隊(台南空)に配属されると、零戦二一型を駆って各地を転戦。しかし1942年8月にガダルカナル島上空の戦いで右目を負傷、視力を失って最前線を退く。公認撃墜数は28機ながら、戦争中盤以降の激戦には加われなかったため、スーパーエースとは言えない。しかし戦後の著書『大空のサムライ』が世界的ベストセラーとなり、日本海軍航空隊の戦いを世界に知らしめ、零戦パイロットの代名詞となった。


超傑作プラモ「タミヤの1/72 スケール零戦」から作ってみよう!

 零戦が作りたい! それなら迷わず「タミヤ 1/72スケール」のキットをゲットしてください。タミヤの1/72スケール零戦二一型は、2012年に発売された比較的新しいプラモなので、パーツ形状やパーツ精度が非常に高い傑作となっています。初めて飛行機模型を作る人にももってこいのプラモなので、ぜひゲットして組んでみてください。

タミヤ 三菱 零式艦上戦闘機二一型 エンジンカウル
▲エンジンカウルはスライド金型による1発成型で、美しい形状を表現。彫刻もシャープ
タミヤ 三菱 零式艦上戦闘機二一型 主翼
▲主翼の各パネルの彫刻の美しさは絶品。小さなリベットも美しい
タミヤ 三菱 零式艦上戦闘機二一型 栄一二型エンジン
▲ 1/72スケールとは思えないほどの情報量となっている栄一二型エンジン。少ないパーツ数で表現しているのも素晴らしいです
タミヤ 三菱 零式艦上戦闘機二一型 コクピットパーツ
▲細かなコクピットパーツまで表現されており、1/72スケールでありながらとても精密なコクピットを楽しめます
タミヤ 三菱 零式艦上戦闘機二一型 パッケージ

1/72 三菱 零式艦上戦闘機二一型

●発売元/タミヤ●1540円、発売中●1/72、約12.6cm ●プラキット

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