専門用語を解説!作例記事に頻出する用語集【水星の魔女 もっと楽しむガンプラ! 特集】
2023.05.31これさえ読めば完全把握!? 模型作例用語集 月刊ホビージャパン2023年7月号(5月25日発売)
これさえ読めば完璧把握!? 模型作例記事用語集
『水星の魔女』で初めてガンプラに触れたという人も少なくないハズ…、ということで、作例用語について解説しておこう。本記事を読んでいただければ、作例記事内容がより理解しやすくなるはずだ。
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■プラモデルの製品仕様関連
●HG/MG/PG/RG/EG
それぞれハイグレード、マスターグレード、パーフェクトグレード、リアルグレード、エントリーグレードの略称。BANDAI SPIRITSのプラモデルブランド。ガンプラ以外にも冠されることがある。ガンプラではMGが1/100、PGが1/60、他が1/144
●スケール
縮尺。プラモデルのサイズ表記に用いられている。「1/144」であれば、実物の1/144の大きさで造形されている、という意味(18mと設定されているMSの1/144キットなら約13cm、など)。数字が減るほど模型が大きくなる
●PS/ABS/KPS
プラモデルに用いられているプラスチックの種類。もっとも多用されるのがPS。PSよりも摩耗に強く、可動部に用いられるのがABS。さらにBANDAI SPIRITSが独自に開発した、ABSよりも塗料や摩耗に耐性があるKPSがある
●ランナー
プラモデルのパーツが成型されている枠
●ゲート
ランナーとパーツを繋ぐ、細くなっている箇所。切り取ったパーツ側に残る切り跡をゲート跡と呼ぶ
●成型色
製品状態でのプラモデルのパーツ色。これを塗りつぶさず、そのままスミ入れやウェザリングだけ施して完成させる、成型色を活かした製作法もある
■工作箇所・テクニック関連
●ディテール
模型的な意味では、スジ彫りや細かな造形、段差やエッジなどの凹凸、塗装の塗り分けなど、鑑賞時に目に映る情報の総称的に用いられる。これらを追加・向上(=ディテールアップ )させることで、眺めるのが楽しい、魅力的な模型となる
●合わせ目
パーツを組み合わせた際の隙間。主に設定上では存在しないはずの箇所に出てしまう隙間を指す。接着・整形してこれを消すことで設定により近づけることができる。キットによっては段落ち等のモールドとしてアレンジされている場合も
●後ハメ
合わせ目を消すことで分解できなくなってしまうパーツを、加工によって分解できるようにすること。塗装のマスキングを減らすために行う。固定用のピンを切る、引っ掛かる箇所を削る、スジ彫りや段差部分で切り離す、など方法はさまざま
●シャープ化
ツノや剣の刃など本来は尖っている・薄くなっているであろう箇所を削り込み、鋭利にすること。キット状態では安全や強度の都合で丸みや厚みが付けられていることが多く、これらをシャープにすることで、印象が引き締まる
●スクラッチ
さまざまな素材を使い、キットにない部品、あるいは模型そのものを自作すること。キットパーツを芯にして作ることをセミスクラッチ、本当にゼロから作ることをフルスクラッチと呼ぶことも
●スジ彫り
模型の表面に線を彫り込むこと。情報量を増やし、模型的な見映えを向上させる目的で行う。何も彫られていないところに線を追加するだけでなく、段差の谷や元からある線をスジ彫りし直し、よりくっきりさせることもある
●肉抜き
パーツの一部に存在する意図的にくりぬかれた箇所。複雑な形状を少ないパーツ数で再現するために必要な処置。模型の完成度を高めるなら、何かしらの手段で埋めるのが望ましい
●パーティングライン
パーツを成型する際に生じる凸線。プラモデルのパーツはふたつの金型を合わせた中にプラスチックを流し込んで生産されるが、この際の金型の合わせ目がパーティングラインとなって現れる。極力これが出ないように設計されているものの、パーツ形状の都合でどうしてもパーティングラインが出てしまう場合がある。模型の完成度を上げたい場合は削り落とすのが望ましい
●ヒケ
製品状態のパーツ表面にあるわずかな凹凸。成型時にプラスチックが固まる過程で生じるもの。これを削ってならす、場合によってはパテで埋めるなどして平滑にすることで、パーツ形状をより美しく整えることができる
●表面処理
合わせ目やゲート跡、ヒケなど、プラモデルの宿命的にどうしても生じる粗を整える作業。ヤスリで削ったり、接着やパテ埋めなどで行う。工作段階でいかに丁寧に表面処理を行うかが、模型の完成度に大きく影響する
■工作素材関連
●プラ材
プラ板、プラ棒などの素材の総称。日本国内では主にタミヤ、ウェーブが製造・販売。エバーグリーン製など輸入品も豊富に売られている。さまざまな形状・寸法で発売されており、ディテールアップやスクラッチに用いられる
●パテ
練りもの状の造形素材。模型ではラッカーパテ、ポリエステルパテ(ポリパテ)、エポキシパテ(エポパテ)が主に用いられる。ラッカーパテは歯磨き粉状で乾燥が早く、傷消しなどに使用。ポリパテはペースト状で、ざっくり盛り付けて固まったあとに削り出して造形する。エポパテは粘土状で、固まる前から形状を作ることができる。使用箇所や作りたいものに応じてこれらを使い分けるのが一般的
ラッカーパテ
ポリパテ
エポパテ
●市販パーツ
プラモデル製作を補助する目的で売られている素材全般。コトブキヤ、ウェーブ、ハイキューパーツなどが数多く販売している。バーニアやダクト、円形や四角のモールド、ハンドパーツなどがあり、ディテールアップやスクラッチに用いられる。プラスチック製が大半だが、より精密な金属製のパーツもある
●水転写式デカール
コーションマーク(注意書き)やエンブレムなどを表現するための素材。文字や柄が印刷された極薄のフィルムに糊がついており、水に浸すと糊が溶けて模型に貼り付けることができる。シールなどと比べると扱いが難しいが、非常に薄く見映えがよい。キットに付属しているものだけでなく、ガンダムデカールをはじめ汎用性のある市販デカールも数多く存在する
■塗装関連
●ラッカー系塗料
模型用塗料の種類のひとつ。タミヤ、GSIクレオス、ガイアノーツなど多くのメーカーが展開している、もっともポピュラーな種類の塗料。エアブラシ塗装に向いており、メタリック色、偏光パール、ホログラムなど、特殊な効果が得られる塗料の大半がラッカー塗料である
●水性塗料
模型用塗料のひとつ。GSIクレオスの水性ホビーカラーとアクリジョン、タミヤのタミヤアクリル、輸入販売されているシタデルカラー、ファレホが主流。乾燥前なら水で薄めることができ、筆塗りが得意。成分の違いでさらに水性アクリルと水性エマルジョンに大別され、水性ホビーカラーとタミヤアクリルが前者、アクリジョン、シタデル、ファレホが後者に該当する
●エナメル系塗料
模型用塗料の種類のひとつ。日本国内では主にタミヤ、ガイアノーツが発売している。他の塗料を侵さないため、ラッカー塗料や水性塗料で塗装した上からエナメル塗料を塗ったり拭き取ったりすることができる。この性質を利用し、スミ入れやウェザリングに活用される
●サーフェイサー
塗装の最初に塗る下地用の塗料。上に塗る塗料の食いつきを助ける、パーツの細かな傷を埋めるなどの効果がある。また加工段階で残ってしまった深い傷や表面の凹凸が見つけやすくなるため、工作後の最後の確認としても重要
●ウェザリング
汚れやダメージを表現する塗装法の総称。泥や砂の汚れ、退色や剥がれなどを加えることで、実際に存在し、使われているというリアルさを表現できる。ドライブラシ、ウォッシング、チッピングなど、具体的な手法は多岐にわたる
●トップコート
GSIクレオスが発売している、ツヤを統一させるための仕上げコーティング用スプレー塗料。そこから派生して最後のコーティング工程を指す場合もある
●スミ入れ
スジ彫り箇所や段差の谷に濃い色を流し込み、その形状を鮮明にすること。主にエナメル塗料や、スミ入れ用のガンダムマーカーで行う。凹凸をはっきりさせ、模型的な見映えを向上させるために施す
●ツヤ
パーツの光沢度合い。ツヤあり(光沢、グロスとも)、半ツヤ(セミグロスとも)、ツヤ消し(フラットとも)などで表現される。塗装の最後に全体のツヤを統一するコーティング塗装を行うのがポピュラーな手順で、ガンプラにおいては、雰囲気が落ち着き手法としても容易なツヤ消しで仕上げることが多い
●マスキング
塗装の際の、色を塗り分けるためのマスク作業。色が着いてほしくない箇所をマスキングテープ等で覆うのがもっともスタンダードな手法。この手間を減らすために後ハメ工作が行われる